こんにちは。マーガレットです。
今日は世界遺産を大きく分けた10グループのうち、「文化的景観」というのを説明するわ。
これは、1992年、ちょうど日本が世界遺産の条約に参加した時に導入された考え方なの。
今までは自然遺産か、人が作った建物などの文化遺産か、という大きな分け方だったのだけど、山を神様として信仰したり、自然と共存した文化そのものを「人間と自然の共同作品=文化的景観」として保護しよう、という考えが導入されたの。
複合遺産と似ているのだけど、複合遺産の方は「自然だけでも遺産価値がある場合が条件」になるから、ちょっと意味あいが違うのよ。
例えば、フィリピンのコルディリェーラ山脈の棚田。

2000年前から、山の斜面を切り開いて段々の水田を作ってきたイフガオ族。その美しい景観は、「天国への階段」とも言われているわ。
山の上に降った雨水が湧き水になって灌漑路(かんがいろ)を通じて上段の棚田に流れ込み、石垣の隙間(すきま)を伝って下段へと流れていき、最後には下の谷や川に流れ込むという、自然を壊さない水の循環ができているの。
勾配が急で主に人手で農作業をしなくてはいけないので、昔から村の人々が協力しあって稲の植え付けや棚田の修理をしていたわ。そして新米ができるとお米のお酒、ライスワインを作って収穫を祝ったの。
稲の植え付けなどの儀式に歌われる歌のひとつに、「フドゥフドゥ」というものがあり、2001年にユネスコの「人類の口承(こうしょう)および無形遺産の傑作宣言」にも選ばれているのよ。
自然のサイクルと合致した、今でも進化し続ける農作風景と、その農耕生活に根ざした人々の文化が「文化的景観」として評価された例よ。
ただ、最近はフィリピンの発展で稲作が儲からなくなってしまい、畑に転向する人が増えたりと、この風景と文化を維持するのが難しくなっていて、「危機遺産」に登録されてしまったわ。残念ね・・
日本の文化的景観は2つあるわ。
2004年に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」と、2007年に登録された話題も新しい「石見銀山遺跡とその文化的景観」。
紀伊山地の霊場と参詣道は、日本に昔からある自然を敬う「神道」という考えと、中国から伝わった「仏教」を融合させた「神仏習合」という信仰が、まさに自然と宗教が一体化した独特な例として評価されているわ。

また、石見銀山遺跡とその文化的景観は、銀を作る際に火を使うため、周りの木をどんどん伐採してはげ山にしてしまう世界のほかの銀山と違って、ちゃんと伐採した分植林し、森を守りながら銀を生産し、その周りの町など人々の文化を発展させていったところが評価されたわ。

自然を大事にする心は、日本人が昔から持っている大事な考え方ということね。すばらしいわね!
| 2008年09月24日 18:50
| 世界遺産ってなに?, 世界遺産博士になろう!
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こんにちは。マーガレットです。
世界遺産って、ほんとに数が多くて覚えるのは大変よね~。
以前、世界遺産を勉強するポイントを3つ、教えたけれど 世界遺産は一つ一つ覚えるよりも歴史上のつながりや似た点をまとめて覚えるのがお勧めよ。
今年の世界遺産検定からは、「テーマ」に沿った世界遺産の覚え方がポイントになるはず。
テーマによって大きく世界遺産を10のグループにわけているわ。ちょっと難しい言葉が多くなるけどざっと挙げるわね。
①文化的景観
→1992年から世界遺産の登録審査に加わった新しい考え方なの。今まで建物や自然そのものどちらかだったのが、これによって自然と人間の営みの調和が美しいということが評価された世界遺産が登録されることになったわ。
②古代ギリシアとヘレニズム
→古代ヨーロッパと、オリエント文化の交流によって生まれた世界遺産。
紀元前340年位の、アレキサンダー大王が東方遠征によって空前の大帝国を作ったことによるもの。
③ヨーロッパ近代
→多くはキリスト教や、王政に関連する建築物。何と何が共通する建築様式か。。?みたいに建築物に注目するのもいいわね。
④イスラム世界
→7世紀から生まれたイスラム社会。地理的に離れていても、イスラム教が伝わった事で建築様式に共通点があったりするわ。
⑤東南アジアと東アジア
→主に仏教の伝播をたどると共通点がみえてくるわ。
⑥アメリカ大陸先住民文化
→コロンブスのアメリカ大陸到達以前に栄えた先住民文化。天空都市「マチュ・ピチュ」やナスカの地上絵などが有名。
⑦産業遺産
→18世紀からの産業革命の流れと、労働者の待遇の変化が分かるわ。
⑧現代の遺産
→19世紀以降の現代の歴史。先日紹介した「ブラジリア」もこれにはいるわ。
⑨火山と熱水現象
→地球の歴史をあらわす火山活動によって生まれた自然遺産。
周囲の特殊な動植物もチェックよ!
⑩沿岸・海岸
→川、渓谷、滝、湖、砂浜、海洋、湿地帯など水がある自然遺産。特に湿地帯の動植物の共存関係は要チェックよ!
このほか、14ある日本の世界遺産や、世界遺産はどうやって登録されるのか?という基礎も絶対抑えるべきポイントなの。
2008年度の世界遺産検定の基礎ガイドでもテーマごとに紹介しているから、チェックしてね!
次から、テーマに沿って簡単に教えちゃうわね!
| 2008年09月08日 18:49
| 世界遺産ってなに?, 世界遺産博士になろう!
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こんにちは。マーガレットです。
世界遺産は地球中の自然や人類の大切な遺産を守ろうというもの。逆にいえば、守らなければ失ってしまうかもしれないものも多いということなの。
800以上ある世界遺産の中で、地震や台風などの自然災害から戦争、都市開発など色々な理由で価値を損ないそうになっている遺産もあります。それが「危機遺産」というもので現在30件ほどあるのです。
たとえば、東欧の「アドリア海の真珠」といわれた13世紀の美しい町並みを残すクロアチアの「ドゥブロヴニクの旧市街」。
旧ユーゴスラビアの内戦で何千発もの砲弾をあびてボロボロになってしまった街だけれど、危機遺産に登録され、世界中の専門家や街の人達が力を併せて当時の建物を復元し、当時の美しさをとりもどして危機遺産からはずされたのよ。

ドゥブロヴニクの旧市街
せっかく世界遺産になったのに、国が遺産を守らなかったという理由で世界遺産リストから消されたものもあるの。
オマーンの「アラビアオリックス保護区」。

すでに野生種が絶滅したアラビアオリックスを、野生に近い状態で保護・育成しよう、という事で1994年に自然遺産として登録されたのだけど、当のオマーン政府がアラビアオリックスの保護よりも石油と天然ガスの採掘を優先し、勝手に保護区の面積を減らしてしまったの。結果、アラビアオリックスの数は激減。
2007年に、危機遺産リストに登録される間もなく世界遺産リストから削除されてしまったの。
この他、ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」では2004年に文化遺産として登録されたものの、翌年にはここ、エルベ川にかかる橋を架ける計画がもちあがり、それが環境を壊すという事で「危機遺産」に登録されたわ。
住民は不便な生活を良くしたいという建設派と、世界遺産に残す為にとりやめようという反対派に分かれて今も議論中なの。なんとか、今年の世界遺産会議では抹消にはならなかったけれど、「遺産」地域ですむ人の生活を優先するか遺産をそのまま残すべきか、考えさせられるわね。

ドレスデンの市街地。「百塔の都」と呼ばれ、12世紀からの古い建築物が今も残る美しい街。
| 2008年09月05日 18:35
| 世界遺産博士になろう!, 危機遺産
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串間美千恵(クシマ ミチエ/みっちー)- デザイン会社等を経て、1996年テレビ朝日系列株式会社エル・エス・ディーに入社。
3DCGアートディレクターとして、番組などの CG、キャラクターデザインや制作を手がける。2001年に独立、dicro animation studio チームを結成。数々の映画やTV、CMの仕事に携わる。現在オリジナルコンテンツの開発と運営、Webデザイン、映像制作等を行う株式会社dicro代表。2004年、日本エンジェル大賞受賞。 2007年、同受賞作「魔法昆虫使いドミター・レオ」で児童書作家としてもデビューを果たす。